みなさん元気ですか?
わたしは元気です。
水色えぬつーです。
「Wake Up, Girls! Advent Calendar 2020」の3日目の投稿記事です。
2020年も終わろうかという今、平成の声優アイドルの話を一筆したためようとする異常者熱心なワグナーが25人も集まるとは驚きですね。
ぜひ他の方の投稿も読んでみてください。
7日目のチヌカルカムイ様の記事を読ませて頂きましたが、謙遜されていることに違和感を覚えるほどの文量とワグナー視点の熱を感じつつ、企画を応援している気持ちが伝わってきました。
明日8日目は湖底人氏。
WUGの往時にブログでお気持ち表明するのが流行った名残か、カレンダー投稿者にワグナーがどうしても多い気がするのでプリチャンやらんがばん、ラジオや番組などWUGを経由せず入ってきたランナーの話もぜひ読みたいです。
あなたも思いの丈をブチまけてみませんか?
前提:
1.2020年秋クール放送 全12話
2.劇中時間軸は2020年
3.コロナ渦については考えないものとする
4.Wake Up, Girls!はすでに解散している
補足:
各キャラクター年齢(2020年1月→12月)
速志歩・阿津木いつか 16歳→17歳
守島音芽 15歳→16歳(早生まれで歩・いつかと同学年)
島田真夢 22歳→23歳
林田藍里 22歳(1月生まれ)
片山実波 21歳(1月生まれ)
七瀬佳乃 22歳→23歳
久海菜々美 20歳→21歳
菊間夏夜 24歳→25歳
岡本未夕 24歳→25歳
第1話
2020年1月1日。令和2年の元旦。
青葉神社に初詣に来ているRun Girls, Run!の歩、音芽、いつかの3人。
賽銭を放って祈る願いは3人とも同じだった。
アイドルの祭典2020・東北予選を突破して、今年こそは先輩のWUGのようにI-1アリーナのステージに立つこと。
神社からの帰り道、嵐のように過ぎ去った去年のことを振り返る3人。
2019年は高校受験に始まり、それが終わったかと思えば3月にはWUGのFINALライブと中学の卒業式。
4月に高校に進学。
学業優先で休止していたRun Girls, Run!の活動もすぐ再開できるかと思えば、事務所の都合もありレッスン続きの日々。
ようやく再始動できた時にはもう1学期は終わって夏休み。
アイドルの祭典2019・東北予選では自分達の無力さを思い知る結果だった。
後輩ユニットの自分達に付いてきてくれたワグナー達に励まされ「来年こそは予選を突破する」と誓ったクリスマスライブ。
次は三が日明けに事務所へ挨拶しに行く約束をして別れる。
約束の1月4日のこと、事務所に向かって歩く道すがらで3人は夏夜と未夕と遭遇する。
第2話
夏夜と未夕の二人は(寂しがる未夕に押される形で)今は東京で一緒に暮らしていて、東京に戻る前に顔見せに寄ったそうだ。
事務所に行ってみると明かりと暖房は点いているが誰もいなかった。
夏夜はテレビタレント業が上手くいき、スタイルの良さからモデルなどの仕事も来るようになってすっかり事務所の稼ぎ頭となっていた。
未夕はWUGの解散後、各々が夢を追う中でも変わらず「アイドルの夢」を追いかける道を選びグリーンリーヴス(以下、GL)を退所していた。
今は東京でコンカフェ経営のアイドル事務所でWUG時代の固定ファンに支えられつつ頑張っているらしい。
自分の事で手一杯で事務所も移籍してしまい「Run Girls, Run!」と自分が命名したのに先輩として面倒を見られなかったことを詫びる未夕。
夏夜も仙台に残っているのが藍里と実波だけになってしまったことが気掛かりなようだった。
ランガ3人が事務所に出入りするようになりライブツアーの仙台公演で前座を務めた頃を懐かしむ5人。
(新章の回想)
WUGの進退を決めた時期に話が差し掛かった辺りで事務所の扉が勢いよく開かれた。
当然そこに立っていたのは社長の丹下。
しかし見知らぬスーツを着た女性を横に連れていた。
第3話
横に立つ頼りなさそうな女性はGLの新人マネージャーだと言う丹下。
今、仙台の事務所には丹下しかいなかった。
松田は活動拠点を移した元WUGメンバー達の面倒を見るために、GL東京支店に常駐しているのだった。
(支店といっても事務所兼松田の自宅アパートだが)
おかげで全ての事務その他雑用は下っ端のRGR3人、そして仙台に残っていて家も近い藍里が代わりにやっているのだった。
雑用係からの解放を喜ぶのも束の間、RGRを本格的に売り出す為にCDデビューとバレンタイン、ホワイトデーにライブをやることを宣言する丹下。
相変わらずの丹下に苦笑しつつ、離れているが応援していると励まして去っていく夏夜と未夕。
ライブはともかく、初めてのボーカルレコーディングを不安に思う3人。
唯一の持ち曲でもあるカケルxカケルは未だにインディーでもCD化していなかった。
アイドルの祭典の出場条件、「未発表の曲を披露する」という条件を満たすために見送っていたのだった。
そんな3人それぞれにアドバイスをして励ましてくれるマネージャー。
彼女もかつての松田と同じように音楽の道に夢敗れて仙台に戻り、居酒屋で腐っていたところを半ば無理やり丹下に連れて来られたのだった。
夢を追うことの尊さ、そして苦労を経験者として語るマネージャー。
まだ駆け出しなのに思い悩んで二の足を踏むには早過ぎる、と吹っ切れた3人はCDレコーディングとライブを乗り切る。
【新マネージャーは主人公がランガに切り替わるのに合わせて、同じ駆け出しとして目線を合わせてくれる大人側のキャラがいた方が話を作りやすそうだなと思って書きました。面倒なのでこの後の文章ではあまり言及しませんが劇中の松田感覚でちょこちょこ合間に出てくるイメージです】
第4話
バレンタインライブを無事に終え、CD発売のミニライブを繰り返しながら次のホワイトデーライブに向けて練習をする3人。
練習後、突っ伏しながら浮かない顔の音芽。
自分達の評判をSNSでエゴサしたところ忌憚ない意見がいろいろと目に入ってしまったらしい。
分かってはいるものの傍から見ればパフォーマンス面はまだまだということらしい。
昨年のアイドルの祭典・東北予選に出て以来、「あのWake Up, Girls!の姉妹ユニットが出来たらしい」という情報は徐々に広まっていた。
良くも悪くも注目を集めつつあると同時に、露骨にWUGとRGRを比較する人たちも増えてきたと言う音芽。
流石にWUGさんと較べられたらまだまだだよね、と苦笑する歩と納得いかないという顔のいつか。
そんな時、藍里が事務所を訪れる。
藍里は仙台支局でのお天気お姉さんを始め、ラジオのアシスタントやナレーターなど地元・仙台と繋がりの強い仕事も多いので変わらず仙台で活動していた。
3人から事情を聞いた藍里は今度レッスンを直接見てくれると申し出るのだった。
後日、レッスン室で3人を優しくも厳しく、それぞれの不得手な部分を的確に指導する藍里。
教え方がレッスンの先生より上手だ、とお世辞ではなく本心から感謝するRGRの3人。
休憩中のこと。かつてダンスが下手で周りに迷惑をかけてしまったと語る藍里。
不得意だったからこそ詰まりやすい部分や出来なくて悔しい気持ちが分かるのかも、と言う。
WUGがまだ駆け出しだった頃、早坂が関わるようになってその厳しさに脱落しそうになったことや仲間に支えられたことを回想する。
早坂の鬼っぷりを聞いて「今の自分たちではアイドルの祭典は遠いのでは・・・」と焦るRGR。
そんな3人に微笑みかけながらも、これからは空いてる時間に早坂ほどではないが先輩としてビシバシ指導してくれるという藍里だった。
ライブを終えた後、懲りずにエゴサして落ち込む音芽。
練習量は増えたがそうすぐに効果が出るはずもないとたしなめる歩だったが、少しづつ自信がついてきた二人の顔は以前より明るかった。
第5話
ついにシングルデビューを果たしWUG初期にならって場数を踏むための定期ライブを予定しているRGR。
宣伝のために口利きをしてもらって実波がレギュラーを務めているローカルの食レポ番組に出して貰えることになった。
初めての食レポに戸惑う3人を上手くサポートしつつ、WUG最初の食レポの思い出を語る実波。
撮影が始まる前は緊張でそれどころではなかったが、小さい頃に訪れたことのある街並みが何一つとして残っていない事に歩はハッと気づく。
【撮影地は女川のイメージ。私自身が初めて訪れた2016頃には女川駅周辺はとても綺麗に再開発されていた。逆にそれが全てを流し去ってしまった震災の生々しい爪痕のように感じてしまい、数度訪れた今でも最初の印象が強く心に残っている】
何もかも崩れ、流されてしまった後に再建された街でも力強く生きる人たち。
そしてそんな人たちにもWUGの活動を通して今でも慕われている実波を見るRGR3人。
WUGが解散して東京へ行ったメンバーもいたが、自分はこの東北が大好きで、そしてそこに住む人たちに元気と勇気を分け与える存在でありたい。それが実波の夢で、選んだ生き方だった。
グループが解散してもなお慕われている偉大な先輩と被災地の復興を見て、WUGの後輩であり仙台を拠点とする自分たちの活動の意義のようなものについて想いを巡らすRGRだった。
【やっぱりWUGである以上は東北と震災要素は欠かせないだろうと思い、センシティブな部分なので迷いつつもねじ込みました。歩、音芽、いつかの3人も宮城出身なので3.11には間違いなく影響を受けているはず。来年で3.11からも10年経ってしまいますね…。】
第6話
春、2年へ進級した3人に大ニュースが舞い込んできた。
2017年から定期公演がなくなり、普段は閉鎖されていたI-1の仙台シアターが再開されるという。
アイドルの祭典で2度栄冠を手にしたWUGの活躍により、確実に東北のアイドルシーンは盛り上がりを見せていた。
そんなWUG解散後の”東北の空位”を狙ったものであるというのがもっぱらの噂だった。
しかも在京I-1メンバーの定期公演ではなく、仙台を拠点とした新たなグループをオーディションで新設するとのこと。そしてアイドルの祭典・東北予選の前に大々的にデビューさせてぶつけてくるらしい。
思わぬライバルの浮上に色めき立つRGRの3人。
I-1ファンでもあるいつかはシアター再開が嬉しくもあり、良かったねあっちゃんと言う2人に曖昧にうなずくいつか。
その目は脇に書いてあるオーディションの募集要項に吸い寄せられてしまっていた。
もう自分はRGRでGLの一員。
いつの間にか当たり前の感覚になっていたが、それでも目の前に憧れのI-1への道がちらつくと目で追ってしまっている自分に動揺する。
歩、音芽の二人とは高校が別になっていた。
いつかがアイドルをしていることは公然の秘密だったが、なんとなく近寄りがたい雰囲気と自分から目立ちたがるタイプでも無いので、特段騒がれることも疎んじられることもなく学校では過ごしていた。
シアター再開のニュースは学校でも話題になっており、たまたまいつかの素性を知らないクラスメイトが「阿津木さんはオーディション受けないの?かわいいのに」などと無邪気に聞いてくる。
後ろめたさからオーディションが気になっていることをメンバーに打ち明けられず、いっそと思い丹下に相談する。
「そういえばそんなこと言ってたわねアンタ。まぁ悔いのないように好きにしなさい」と言い放つ丹下。
てっきり駄目だ言われると思っていたいつかは葛藤しつつも、けっきょく一次の書類審査に応募してしまう。
これで落ちてくれれば、と相反した淡い期待を持つが結果は合格。
ゴールデンウィークの初日と最終日にRGRはライブを予定していたが、会場での二次審査は最終日と被っていた。
どこか精細を欠くいつかの様子が気になる歩と音芽だが、はぐらかされてしまい事情を聞き出せない。
迎えた連休初日のライブ。
普段は目立ったミスがないいつかが珍しくミスをしたことを発端に二次オーディションを受けるか迷っていることが露見してしまう。
RGRかI-1か。
まさかI-1を選ぶわけないよね?と半信半疑で訊く音芽だが、いつかの態度は煮えきらない。そんないつかに声を荒げてしまう音芽。
いつかはつい「RGRは自分の理想とするI-1のパフォーマンスには程遠い」と吐露してしまう。
RGRを否定するような物言いにショックを受ける音芽。そこからは売り言葉に買い言葉となってしまう二人。
泣き出した歩が止めてと叫んだところでその場は収まるが、ケンカ別れ同然でいつかは帰ってしまった。
前もこんなことあったわねぇと楽屋で苦い顔をする丹下。
普段なら成り行きを見守るところだが、思い浮かんだ顔へと戯れに連絡する。
翌日。ライブの反省を踏まえて練習の予定だったが、いつかは現れない。
RGRに残って欲しいが夢を追うなら応援したい、と本心では思いつつ昨日の喧嘩が気まずくて連絡が取れない音芽。
一方、いつかは自宅で歩のメッセージを横目に見つつ動けないでいた。
ライブから翌々日。
いつかの自宅訪れたのは歩でも音芽でもなく、久海菜々美だった。
第7話
丹下の差し金で訪ねてきた菜々美。
今は芸能活動を休止して東京の音大に通いつつ将来を模索している。
丹下に事情を聞かされて、文句を言いながらもGWの連休もあって様子を見に来たそうだ。
場所を変えていつかから経緯を聞く菜々美。
仲間と夢の間で揺れるいつかに対して、かつて自分は光塚を目指していたこと、夢を追い別れる決断に皆が肩を押してくれたこと、結局WUGを選んだことを話す。
「正しい答えなんてきっと無いけど、オーディションを受けても受けなくても、今のままならきっと後悔することになるわよ」と戒めて去って行った。
一方、歩と音芽、マネージャーは事務所で丹下になぜいつかを止めないのか食ってかかっていた。
「やーよ面倒くさい。アンタ達が引き留めればいいじゃない。そもそもオーディションなんか受かるかも分からないんだし」と、にべもない。
いつかが抜けたらRGRはどうなるのかと問われて「二人で続けるか、別のメンバーでも探すか……」と言いかける丹下。
それを「RGRのメンバーはあっちゃんしかいない!」と強く遮ってしまう音芽。
ならやる事があるんじゃないの?と丹下に睨まれた音芽は泣きそうな顔で出ていってしまう。
連休最終日ライブの前日、レッスン室にまたしてもいつかの姿は無かった。
うつむく音芽を横目に見つつ、このままではいけないという焦燥の中で自分かマネージャーだけでも説得に行こうか悩む歩。
そんな時、唐突にレッスン室にいつかが現れる。
手には一次審査通過の通知書を持ち、意を決した様子で二次審査を受けるつもりだと告げる。
歩は思わず泣き出してしまうが、音芽は仕方ないという苦笑顔で「落ちて帰ってきたら許さないから」と発破をかける。
音芽の反応を見た歩も泣き止んで応援することを告げる。
そんな2人の反応を見届けたいつかは・・・おもむろに通知書をビリビリに破いて投げ捨てる。呆気に取られる一同。
離れると言ってもなお背中を押してくれた二人。
もう自分にとってはRGRが絶対的な居場所であり、この仲間たちに背を向けることは出来ない、と自分の心と絆を再確認したいつかはキッパリとオーディションを諦めることを宣言する。
散らかした通知書を3人で片付けながら「二人のダンスはまだまだだから私が見てあげないとダメ」などと嘯くいつかの顔にはもう苦悩は残っていなかった。
第8話
アイドルの祭典では予選と本戦でそれぞれ1曲ずつ、未発表の新曲が必要となる。
1曲は元・サファイヤ麗子こと佐藤勝子に頼むとして、Twinkleの都合が付かないらしいので2曲とも頼んでしまうか別口を探すか思案している丹下。
そんな折、異常に良いタイミングでGLの事務所を訪れたのは早坂相だった。
なんとRGRへの曲提供を申し出る早坂。
明らかに何か企みがあるに違いなく、苦い記憶が蘇って渋る丹下。
しかしRGRメンバーとマネージャーは大喜びしているし渡りに船なのも事実。
今度は契約書に「同楽曲を許可なく他のアーティストへ提供しない」と明記した上でしぶしぶ了承する。
早坂の提供曲といえばWUGを支えたものも多く、WUGが大好きな音芽なら一番喜びそうなものだが、テーブルの端で浮かない顔をしていた。
音芽はRGRのリーダーだった。
なのに心を揺らすいつかを留めるどころか感情的に衝突してしまい、危うくRGRを空中分解させそうになったことがずっと頭をもたげていたのだった。
学校は夏休みに入り早坂の用意した新曲の完成度を高めつつ、ライブをこなす日々。
音芽が思い悩んでいることは見ていればわかるが、気付きながらも歩といつかはどう励ませば良いか分からずにいた。
そんな様子を横目に見ていた藍里は先日の丹下のやり方に習って、密かに佳乃と連絡を取っていた。
後日。佳乃が泊まりの撮影で仙台に来るので、RGRメンバーの誰かに付き人になって欲しいという連絡があった。
乗り気ではないので2人のどちらかに譲ろうとする音芽だったが、藍里に薦められては断るわけにもいかず、押し切られて同行することに決まってしまう。
佳乃は東京でモデル業を続けつつ、出版系の人脈を活かしてフォトグラファーやコラムニスト、デザイナーなど、アイドル稼業の頃はできなかった様々なことに挑戦していた。
慣れない撮影のサポートに忙殺されている内に初日の仕事が終わってしまった音芽。
泊りの宿の温泉でようやく一息ついている所に佳乃が現れる。
忙しくって思い悩んでるヒマなかったでしょ、といたずらっぽく言ってから実は藍里に事情を聞いていたことを明かす。
悩みなんてそんな、と一度は否定する音芽。
それでも促し続ける佳乃に折れて、ぽつぽつと自分がリーダーであることの意義や自信が無くなったことを打ち明ける。
話を聞き終え、苦笑しながら藍里がWUGのリーダーだった自分を差し向けたことに合点がいく佳乃。
藍里が辞めそうになった時の話は聞いた?と切り出し、自分がWUGでどんなリーダーだったかを思い返しながら語る。
リーダーと一口に言っても色んなタイプがいると思う、と総括する佳乃。
何かと先頭に立つ機会は多いが、必ずしも頼りがいのある必要もないし、メンバーを引っ張っていかなきゃとプレッシャーに感じることもない。
もっちーはムードメーカーなんだから、暗い顔してたら二人が困っちゃうんじゃない?と言って温泉を後にする佳乃。
翌日も慌ただしく過ぎて撮影は終了した。
戻ってきた音芽の顔に、以前の光が戻っていて安堵する歩といつか。
ある日、ライブの打ち合わせに熱が入りすぎて3人は別の予定の集合時間に遅れそうになってしまう。
「もっちー、リーダーなんだからしっかりしてよ」と文句を言ういつかと苦笑する歩。
しかし音芽は「二人こそしっかりしてリーダーの私を支えてよね!」とふてぶてしく返すのだった。
第9話
夏休みも終わり、いよいよアイドルの祭典の足音が聞こえ始めてきた。
東北予選においては純粋なファン数は当然だが、ネット投票もあるため知名度もまた重要になってくる。
活動再開から1年経ったがまだまだ、と言う丹下の一喝により地道に仙台駅前でチラシ配りをする3人。
歩がチラシを配っていると、スーツケースを引いた同年代の女の子が受け取ってくれた。
よくよく見ると凄く可愛い子で、なんとなく一目でアイドルかもしれないと察する歩に対して「あなたがランガールズラン?」と少し険のこもった声で尋ねてくる。
「そ、そうですけど」と返す歩をふーん、と品定めするような目で見る。
そして小さな声で「負けないから」とつぶやいて歩き去ってしまう。
よく聞き取れなかった歩は困惑しながら立ち尽くしてしまった。
【この突っかかってきた子を「ライバル子」と呼称します。創作が苦手なのでちょっと命名する気になれず…】
初夏にRGRにも波乱を起こしたI-1の新グループユニットが遂にお披露目日が正式に決まったらしい。
東北予選が行われるちょうど1ヶ月前にお披露目ライブを開催、そこからは毎週平日土日を問わずイベントや配信を行って1ヶ月でスパートをかけるらしく、I-1主力メンバーも応援という形で仙台シアターへゲストに来ることも発表されてネットは盛り上がっていた。
【このグループユニットを「新ユニット」と呼称します。創作が苦手なので(以下略】
ぽっと出ではあるが強力なライバルになることは間違いなく、改めて気を引き締める3人。
半年前より断然厳しいレッスンに場数も沢山踏んで、様になってきた3人を労う藍里。
パフォーマンスの実力、そしてグループ内での衝突も経て精神的にも成長した3人は自信に満ち溢れていた。
そんなある日、早坂から一通の封筒が届く。
中に入っていたのは新ユニットお披露目ライブの関係者招待券。
新ユニットはオーディションからプロデュースまで早坂が手掛けており、「面白いものを見せてやるから来い」とのこと。
予選当日が近付いてる今は1日でも惜しい所ではあるものの、RGRのイベントが被っている日でも無いので敵情視察も兼ねて行くことにする一同。
書面に書いてあった「面白いもの」という部分が気になり胸騒ぎがする丹下。
ライブ当日。
ステージの中央に立っているのは先日チラシ配りをしていた歩に突っかかってきたライバル子だった。印象的だったので思い出して驚く歩。
お披露目なので持ち曲は数曲しかないため、基本は自己紹介をしつつのトークやI-1のカバーをしつつ進行していた。
お披露目なのにクオリティの高いカバーに舌を巻くI-1ファンでもあるいつか。
いよいよライブの最後、デビュー曲だと宣言され流れ始めた曲は……RGRに早坂が提供した曲と同じ曲だった。
第10話
衝撃を受ける一同。
しかしイントロは同じかと思ったそれはアレンジと詞が違う別の曲だった。
終演後、関係者席に現れる早坂。
当然丹下が喰ってかかるがどこ吹く風である。
どうしてこんなことをしたんですか?と問う歩。
答える早坂のよくわからない喩えに一同頭上に?マークだが、要するに早坂の目的は対になる2曲をRGRと新ユニットに持たせて、東北予選において必然的に2組の一騎打ちとなる構図を作ることにあった。
ライバル子はこのことを既に知らされていたから、RGRのことを目の敵にして突っかかってきたのだった。
「僕があげた曲は使っても使わなくてもいいよ。ただし予選に間に合うならね」と煽る早坂。子芋ちゃん達の実力、見せてもらうよと宣戦布告して去っていく。
また奇人変人にしてやられた!と頭を掻きむしる丹下。
翌日、作戦会議のために事務所に集まる一同。
まだお披露目なのに圧倒的なパフォーマンスを見せてきた新ユニットに怖気づく3人。
直接ぶつかるのを避けるために曲を変えることも考えるが、残り1ヶ月では曲の用意も練習も到底間に合わない。
不安がる3人とマネージャーだったが、藍里と実波が励ましてくれる。
曲が似ていれば較べる人はいるだろうけど、負けないだけの努力は続けてきたはずだと言う藍里。
どうせ対決するのは避けられないなら当たって砕けろだよ!と言う実波に砕けちゃダメでしょと苦笑する一同。
お陰で気負いの解けた3人は真正面から戦うことを決断する。
そしてアイドルの祭典・東北予選の当日。
会場で直接RGRに宣戦布告しにくるライバル子。
「私たちは王者I-1の看板を背負ってる、絶対に負けない」というお披露目から1ヵ月とは思えない気迫と伝わる緊張感に、刺激を受ける3人。
私たちだってWUGさんの後輩なんだから、負けられない。といつか。
向こうは1ヵ月だけどこっちは去年の東北予選から1年頑張ってきたんだもん、負けるわけない!と音芽。
東北予選は通過点で、先輩たちと同じようにI-1アリーナのステージでパフォーマンスすること。自分たちの目標を再確認する歩。
頷きあい、掛け声を揃えてまばゆく輝くステージに向かう。
全グループのパフォーマンスが終了して結果発表。
パフォーマンスの仕上がりはRGR、新ユニットはほぼ互角という状態だったが、仙台というフィールドと”WUG神話”に後押しされる形でRGRが優勝して予選を突破する。
関係者席で見ていた丹下とマネージャーに、珍しく悔しそうに捨て台詞を吐いて去っていく早坂。
事務所で祝勝会をする一同。
第11話
予選抜けが決まったことで2ヵ月ほどで本戦の準備をしなければいけない3人。
本戦に向けた曲を作ったサファイヤ麗子=佐藤勝子が事務所を訪れる。
2015年にWUGが本戦に出るにあたってBeyond the Bottomを作成した当時を懐かしむ丹下と勝子。
実は何度かRGRのライブに訪れ、先日の東北予選も配信を見ていたらしい勝子は「今のあなた達にしか歌えない曲を書いてきたわ」と告げ新曲を託す。
新曲のレッスンに仙台での祝勝ライブやファンたちとの壮行会などイベントで忙しく過ごす3人。
そんなある日、東京にいる真夢から自分が主催するイベントに出演しないかという打診があった。
真夢はドラマ「夢みるふたり」で役を演じることの楽しさに気付き、現在は女優業を中心に活動していた。
しかし元来の歌い踊ることが好きなのには変わりなく、ミュージカルに出ることを目指しつつダンスや歌唱を披露するイベントを時々主催していた。
二つ返事で承諾した3人は東京を訪れる。
東京に来るのは中学の修学旅行ぶり・・・ではあったが、当然思い出すのは真夢が出ているドラマにエキストラとして出演するために3人で訪れた東京のことだった。
当時はまだアイドルどころかアイドルを志す前だったことを振り返り、そんな自分たちが今ではアイドルの祭典本戦を控え、雲の上の存在と思っていた真夢にイベントゲストとして呼ばれていることを感慨深く思う3人。
会場には以前よりは頼りない雰囲気も少なくなってきた松田もいた。
3人の顔を見ていい顔つきになったじゃないか、と褒めてくれる。
イベント中、解散後も衰えない真夢のパフォーマンスに楽屋裏で刺激を受ける3人。
会場の真夢のファンたちは後輩であるRGRを温かく迎えいれて、本戦も応援すると言ってくれる。
純粋な自分たちのファンだけでなく、WUGに関係する多くの人たちにも応援されていることを改めて実感する。以前ならプレッシャーだったが、いつの間にかそれを純粋に有り難いこと、期待に応えてみせるという自信に変わっていた。
終演後、真夢と向かい合って話す3人。
他のWUGメンバーからRGRの現況や相談を受けたり励ましたりしていたことは聞いていたという真夢。
自分も様子を見に行きたかったがこれという機会が無く、本戦出場が決まったと聞いてイベントに呼ぶことを思いついたという。
忙しい時期に呼びつけるようなことをしてごめんなさいと謝る。そんな、と謙遜する3人。
バスツアーで歩が唐突に「アイドルやってみたいんです」と打ち明けた時のことを振り返る。
あれから3年ほど経ったがもう東北予選を抜ける所まで来たRGR、3人ってすごい才能の持ち主かもとおだてる真夢に恐縮する3人。
WUGの後輩であるということ、WUGが築いた基盤が自分たちを支えてくれていると今日感じたことを話す歩。
東北予選を抜けれたのもそのお陰で、もっともっと頑張ってRGRとして一人前に認めてもらえるようにならないと、と頷きあう3人。
WUGはまだまだ応援してくれている人もいる中、アイドル活動の中で見えてきたそれぞれの夢を追いかけるために解散してしまった。
まだアイドルの夢を追っていたくてRGRに流れたワグナーたちの想いが重荷になってしまっていないか、少し不安だったが今の3人なら大丈夫だねと安心する真夢。
ねぇ、ランガちゃんはいま幸せ?と問う真夢。
え、と面食らう3人に、これはあんまり人に話したことは無いんだけどね…と前置きして誰かを幸せにすることには3つのタイプがあると思うんだ。と持論を述べる。
自分が幸せでなければきっと誰も幸せにはできない、と。
問われた3人は迷いなくハイ、幸せです!と答えるのだった。
仙台に帰ってきた3人。
アイドルの祭典各地予選の結果も出て、ついに本戦出場グループが出揃っていた。
当然王者I-1、そして九州代表としてNEXTSTORMも名を連ねている
いよいよアイドルの祭典2020が始まろうとしていた。
第12話
ついにアイドルの祭典、当日を迎える。
忙しい中、東京にいるWUGメンバー5人は関係者として応援に来てくれていた。
WUGとは不思議なほど縁深いこのI-1アリーナという巨大な会場。
初めて臨み、そして全力を尽くして敗れた2014年のアイドルの祭典。
Beyond the Bottomで優勝した2015年。
あっさりI-1に王座を取り返されてしまった2016年。
解散を控えた背水の陣で挑み優勝を再び掴み取った2018年。
優勝特権のI-1アリーナ使用権利で行ったFINALツアー千秋楽。
WUGは先にゴールしてしまったが、「追いつきたいんだ」とガムシャラに走り続けたRGRがいまそのステージに立とうとしていることにそれぞれ万感の念を感じていた。
泣き出す未夕になんでアンタが泣いてんのよ…と突っ込む夏夜。
【現実のWUG FINALはSSAでしたけど、二次WUGのFINALは仙台じゃなきゃおかしいと思うので強引ですけど上のような設定を考えました】
会場には各予選を通過した他のグループ達も集まっていた。
九州地区代表の志保率いるNEXT STORM。
激戦の関東予選を当然トップで通過してきたセンター萌歌、リーダー愛の率いるI-1。
萌歌はWUGに勝ち逃げされたことを未だに根に持っていて、眼中にないと嘯きながらもRGRへの敵対心を隠そうともしない。
あと一歩のところで優勝を逃し続けてきたNEXTSTORM。
志保も今年こそは古巣I-1に逆襲せんと闘志を燃やしている。
ステージに上がる前、これまでの出来事を回想するRGR。
がむしゃらに追いかけてきたWUGの背中はようやく見えてきたけれど、まだまだ先は長い。全力を出し切ることを誓い合う3人。
(たぶん長尺のライブパート)
残念ながら優勝ではない、まずまずの成績に終わったRGR。
結果的にトロフィーは持ち帰れなかったが、東北にWUGの意思を継ぐもの在りということを知らしめることが出来て大泣きしつつも3人は確かな達成感を得ていた。
仙台のライブハウスで凱旋ならず残念&お帰りライブでカケルxカケルを歌いだす所で完。
あとがき
どうでしたでしょうか?
これまで二次創作のような行為を他人に見える形でやったことは無かったので、果たして他者から見て面白いものになっているかどうか・・・
Wake Up, Girls! Advent Calendar 2020
— 水色えぬつー (@enutun_WUG) 2020年11月16日
に向けてイマジナリーWUG3期の妄想を膨らませてるんだけど、マジで無限にアイデア浮かんでくる。俺以外が楽しめるかは知らんhttps://t.co/6dUKcyL9w3 pic.twitter.com/EVjqGWUuVH
最初は思い付きで始めたわけですが、考え出すと思いの外ぽんぽんと設定や筋書き、こういう時このキャラならこう言う、というようないわゆる「キャラがひとりでに動き出す」現象が発生してスルスルと書けました。
RGRが活動していく中でどういう風に既存キャラクターを絡めていくか、という部分が課題でしたけど驚くほど自然とアイデアが出てきて、キャラクター達はまだ自分の中で生きているんだと実感して嬉しくなりました。
※追記
自分で読み返してみたけど大田出すの完璧に忘れてたな。まぁWUG解散後はRGR追っかけてそうな気がするよアイツは
— 水色えぬつー (@enutun_WUG) 2020年12月2日
すまん、忘れてた。
「コンテンツは続く」という言葉はありましたが、残念ながら続編は望めべくもない現状。
どうしても現実の声優ユニットWUGが解散しているのに2次WUGが放置されていることが許せなかったので、良い気晴らしになりつつ自分の心の中でも少し折り合いをつけることが出来そうです。
かなり長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
良ければこのブログのコメントでもTwitterでも、感想をお寄せいただけるとめちゃくちゃ喜びます。リプライじゃなくてもRTした人のツイートとか見に行ってます実は。
それではまたどこかで、できれば仙台でお会いしましょう。
・*・:≡( ε:)