イベント備忘録

セトリと感想の覚書

ゴールデンウィークは映画館でトラ泣き!

そんなキャッチコピーはない。

 

みなさんごきげんよう

夏クールは「菜なれ花なれ」くらいしか見るアニメなさそうで春の豊作っぷりの反動にビビってます。

水色えぬつーです。

 

1 不等辺四辺形。 どの二つの辺も平行でない四角形。 2 オリオン星雲の中にある四つの重星。 非常に高温で強い紫外線を放ち、星雲全体を光らせる。

トラペジウムとは? 意味や使い方 - コトバンク

 

TLで話題沸騰中のアニメ映画「トラペジウム」はご覧になりましたか?

まぁあなたが見たかどうか、私には何の関係もありませんが。

 

内容はぶっちゃけそこまで面白かったかというと何とも言えない、及第点かなーくらいの映画だったんですけど、それぞれの登場人物には光る部分があったのが印象的でしたね。

 

(世間が盛り上がってるタイミング逃したし観なくてもいいかなー)と思っていたところを重い腰上げてせっかく見に行ったので、ちょっと思ったこととかを書き残しておこうかな。

 

 

 

 

アイドルアニメじゃない

これはオタクと感想会をしていて至った結論なんですが、なんとなくあった違和感に対する完璧なアンサーでしっくりきました。

あれだけキャッチコピーと販売グッズのビジュアルでアイドルを押してるのに、アイドルアニメじゃなかったんですよねコレ。

 

アイドルをやりたい、なりたかったのは主人公?の東ゆうだけ。他の3人にとっては成り行き任せでやっていた事でしか無い。

好奇心である程度乗り気な部分はあったはずだが、東西南北(仮)というユニットは”4人でいるため”のツールでしか無かったのである。

 

んーーー。

何か強烈な夢、目的があるA子、その夢とは何の関係もないB子、二人が出会って巻き込まれるような形でB子も一緒にそれを目指すことになり、元は別方向を向いていたC子やD子も合流して1グループで何かを成していく......みたいな筋書きはガールミーツガールの鉄板ですけど、東西南北(仮)が向かう結論はそれらとはちょっと違いました。

 

この類型は枚挙に暇がないですが、とりあえず真っ先に浮かんだのは「宇宙よりも遠い場所」でしたね。「南極大陸へ向かう(母の消息を追う)」ことが目的。

ちょうど今放送してる「ガールズバンドクライ」は仁奈と桃香がAとBのポジションを複雑に行ったり来たりしつつバンドで成り上がりを目指す話だし、「夜のクラゲは泳げない」はそれぞれ挫折を経験した少女たちが花音を中心にネットシンガー・JELEEとして再起する話だったり。

 

これらは紆余曲折ありつつ一致団結して夢を達成するサクセスストーリーなんですが、トラペジウムにおいては最終的に「一つの夢」は破綻して各メンバーは散り散りになります。

そもそもの話「アイドルになる」というのは東だけの目的であって、その”夢”が劇中で各メンバーに共有されるのはくるみが壊れてグループが崩壊するシーンに至ってようやくというのがなかなか驚きでした。

 

視聴者は東が真司に対して「美少女はアイドルになるべき」(要約)というルッキズムの極致な狂った思想を語るシーンを序盤に見せられていますが、他の3人はきっとそんなこと聞いていないわけです。

15歳という年齢を考えれば狂ってるというより幼稚というべきかもしれないですけど。

 

描写外の行間を読むなら、普段の会話の中で「(西南北いずれか)、可愛いからアイドル向いてるよ!」くらいは言ってるでしょうけどね。

 

書いてて思い出したけど、サクセスしないパターンだと「白い砂のアクアトープ」で水族館の廃業を止められない展開なんかは印象的かも。

ラブライブなんかも「廃校は止められない」「ラブライブには出ない」「雨は止まない」みたいな展開はあるけど、まぁ予定調和だったり別の道の提示だったりリカバリがあったりで挫折ってほどじゃないかな。

 

ともかく。

トラペジウムはアイドルアニメじゃないと俺は思いました。

 

優しい世界

じゃあこれは何のアニメかって、まぁシンプルに考えれば青春モノ、ジュブナイル?あたりになるんでしょうか。

4人の元々無関係だった少女たちが絆を結ぶ物語である。アイドル(というか芸能人)要素が絡むのは”フレーバー付け”でしかない。

 

そしてその過程を見て自分が思った最たることが「悪意の描写がほとんどない」ということでした。

悪意は、害意とか敵意とかに言い換えてもいいです。

ところどころSNSで東西南北(仮)に対する”忌憚ない意見”が映る描写はありましたけど、まぁ大して尺が割かれているわけではない。一瞬過ぎてよく見えなかったし。

 

分かりやすいのは亀井の彼氏スキャンダルの部分で、東こそ暴言を吐くがそれで終わりでした。

事務所の社長はお咎めなしにしてくれたし、その後にファンからの責めで亀井が病む様子も無い。まぁこれも描写がないだけで実際そういうことはあっただろうけど、描写しないということは必要ないと判断したということでしょう。

 

そしてクライマックス、東の独りよがりで始まった”アイドルごっこ”は見ている側の予想をまったく裏切ることなく、人前に出ることがそもそも苦手だったくるみがリタイアすることを切っ掛けに幕切れしました。

 

あそこまで至れば、流石に東以外の3人は「そもそも東が自分たちに近づいてきたのはアイドルになる目的のためだった」ということは察するはず。

そもそも「美少女集めて地域特集のTVに映ればアイドルデビューへの道が拓ける」という前提がまずおかしい、みたいな話はいったん置いておく。

というか個人的には、テレビに出れるようになったあたりから3人とも察した上で付き合ってくれてたんだろうなーと思うけど。

 

 

(特に西と北は)トラウマになるであろう芸能界の恐ろしさを体験してもなお、3人は東のことを責めることはありません。

それどころか最後には「同性の初めての友達になってくれてありがとう」「存在を見出してくれてありがとう」と感謝の言葉すら述べるわけです。

 

友達になってくれたこと、知らない世界を見せてくれたこと、人生を変えるほどの知見を得れたことはあんな事があってもなお釣り銭が出るほどだったというわけですね。

 

う~ん、わかる。

 

でも10代の価値観じゃね~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

余りにも成熟した大人の考え方すぎないか?

 

あれが8年後の出来事で「あの時は許せなかったけど、東さんには振り回されて結果的に自分は変われたから有難う」とかなら分かるが、東西南北(仮)が爆発して数ヶ月でそこに至れるのか高校生。あまつさえ歌詞まで考えてきてるし。

 

 

……、

気の赴くままに書き殴ってしまったが、別にダメだって言いたいわけではない。

ただ(仏すぎるだろこの娘たち…)とは思うが。

 

悪意とも少し違うかもしれんが、いわゆる”ギスギス”になることはなく、東ゆうの城州東西南北アイドル化計画はあわや成功という所まで行ったものの最終的には勝手に空回りして失敗に終わる。

 

その東の失敗を誰も責めたりはしない。

なぜなら東に振り回された人々はみんなそれぞれで”何かを得ている”からである。

ADの古賀さんが電話口で「色々苦労したけど楽しかったからチャラ」みたいな事を言っているのも象徴的に感じた。

強いて言うなら事務所の社長は素人JKの初期投資なんかは回収できたんだろうか

 

 

ちょっとご都合すぎるし(東以外の)登場人物みんな聖人すぎるけど、逆に言うとお話は中弛みなくサクサク進むしナマっぽい人間関係にムカムカするようなこともなく、最後まで実に気分よく見れました。

 

モラトリアムの万能性

もう東っていうか天元ですよね。

天元、つまり中央ってことなんですが、話を俯瞰するとやっぱり東ゆうは四方の一人というより物語の中心だったなーというのはきっと観た全員が思うことなんじゃないでしょうか?

 

劇中において東西南北はそれぞれ高校1・2年生であり、そして物語は出逢い(というよりはやっぱり東が主体で”接近”とか”接触”という表現の方が正しい)からたった1年間の出来事です。

とはいえ高校生の1年といったら全体の1/3の時間であり、南房総という程々の田舎さ、限られた人間関係の中という狭い環境では大きな出来事だったわけで。

 

特に「人間関係の狭さ」というのはかなり重要なファクターでしたね。西南北の3人はルックスの良さに対して友達がいないという”欠点”を東に突かれたようなものでしたからね。

 

多分ですけど東西南北(仮)のことって、世間からしたら1年もすればきっと誰も憶えてないような出来事じゃないですか、当人たち以外。

まぁメンバーそれぞれが各界で有名になったら、それこそ東が遅咲きアイドルとして名が売れれば相応に過去は掘られるでしょうけども。

 

そんな世界の片隅で一部の人たちに起きたちょっとした大事件を、まるで創世と黙示録かのように大げさに描くことが出来るのが青春群像劇のすごいところだなーと改めて思いました。

 

そして彼女たちは若い、それこそ幼かったからこそ経験を糧にして後に成功できたんじゃなかろうかみたいなことも考えちゃいますね。

失敗するなら若いうちに、とは言いますけども。

 

あと、エピローグで〇年後を描くのってちょっとズルいよなーとは常々思うんですけど。

時間が解決してくれる、なんてのは何事にもよくあることで、まぁ今回の場合はケンカ別れしたとかでもないし8年間の彼女たちの努力?が実を結んだ姿になるわけですが。

でも時間をスキップして結論を見せるというのはフィクションだからこそ出来る表現ではありますね。

 

 

工藤真司については......。

アニメの方だといろいろ省略されてたらしいし原作読む予定もないのでノーコメントで。

東との会話が空中戦というか、お互いに核心は突かないけど意思疎通は取れてる感じというか、なんかオサレな台詞回しが多くて割と好きです。

最後に10年後の写真が回収されるとこ含めデウスエクスマキナ的というか、登場人物というよりは舞台装置な感じはするけどね。

 

最後に

東ゆうはカス!ていうのはまぁ異論ないんじゃないかな、トラペジウム全体の賛否や面白いかどうかはさておいて。これだけは言っておかないと。

人間性がカスでも創作上のキャラクターとしては俺は好きだけどね、東。

なんにせよ彼女の行動からすべてが始まるわけだから。そしてちゃんと最後には失敗と向き合い、巻き込んだことや利用しようとした事を謝ってるしね。

 

最初の方に書いた通り、トラペジウムの物語全体はそこまで評価高くないけどキャラクターを魅せる作品としてはかなり上々だと思いました。何様?

 

くるみが可愛い。

高専の姫、ということでもっと大暴れするのかと勝手に想像していたのに孤独から救ってくれた恩返しに壊れるまで東のわがままに付き合ってくれたし責めることさえしなかった。聖人すぎる。

もっとロリロリ声を想像してたのに羊宮さんの演技もハスキーで大人っぽく、意外性に納得感のある演技で大変良かったです。

 

あとAD古賀さんね。忙しいのか髪もプリン頭だったけど8年後には立派な身なりになって東とハイタッチしている姿が良かった。

 

いやとにかく見てて不快になる要素というか、嫌な気分になるシーンが全然なくて見終わった後にちょっと面食らっちゃったな。

東西南北の崩壊は予定調和すぎてあと急に絵柄がけろりら作画になって笑っちゃったし。

 

以上。